歯のホワイトニングと安全性。


保険外治療であるにもかかわらず、「歯のホワイトニング」を受診する方が増えています。


「歯のホワイトニング」は、歯に塗る薬剤に含まれる過酸化水素が分解するときに発生する酵素が、歯のエナメル質や象牙質に浸透して着色部分に作用し、歯に浸透した汚れ(色素)と結びつき分解することによって、これを「無色化」するものです。

この作用によって、歯の象牙質の構造を変えることなく歯の色調・明度が全体的に上がり、歯が白く輝くように見えるわけです(ホワイトニングの3原理(山本歯科医院)ご参照)。

歯のホワイトニング


「歯のホワイトニング」と一口にいっても、やり方はいろいろに分かれます。

歯を掃除・研磨する「クリーニング」から、歯に薬剤を塗って漂白する「ブリーチング」、歯にコート剤を塗る「マニキュア」、歯にセラミックをかぶせる「セラミッククラウン」、歯の表面にセラミックを貼りつける「ラミネートベニヤ」など、いくつかの種類があります。

どれも歯のホワイトニングなのですが、かかってくる費用(料金)と効果が、それぞれの治療で異なってきます。


なお、事前の検査で歯周病など口腔内の病気が発見されたときや、知覚過敏症・妊婦の方などは、すぐに歯のホワイトニングが受けられない場合があります。

ホワイトニング剤にアレルギーのある方で、治療そのものが受けられないケースも、ごく一部ですがあるようです。


歯科医院の治療では、歯のクリーニング後に薬剤(ホワイトニング剤)を歯に塗布し、その効果を活性化させるための可視光線をあてる治療を、数回程度続けるやり方が一般的です。「オフィスホワイトニング」とも呼ばれます。

一方、自宅で行う場合(「ホームホワイトニング」などと呼ばれます)は、一般に歯科医院で使用される薬剤よりも濃度の低い薬剤を注入した、マウスピースのようなトレーを所定の期間装着するやり方が、基本となります。


事前に歯科医院での歯の検査を行い、計画にもとづいて行うことになるため、自宅で行う場合は歯科医院での治療よりも一般に長い期間がかかりますが、薬剤の浸透期間が長くなることもあり、歯の白さの持続期間などの効果もより高まるといわれています。

また費用面でも、自宅治療のほうが一般に安くなるようです。

歯科医院における治療と自宅治療の両方を、併用するやり方もあります。


ちなみに薬剤(ホワイトニング剤)の主成分は、一定温度で分解される「過酸化水素」と「過酸化尿素」となります。


歯科医院の治療で使われる薬剤は「過酸化水素」が主成分なのに対し、自宅で行う場合に使われる薬剤においては、過酸化水素に比べて酸化反応に時間のかかる「過酸化尿素」が主成分となっています。



ホワイトニングの長期的な安全性とリスク。



基本的に、歯のホワイトニングにおける効果の度合いは「歯に塗布する薬剤に含まれる過酸化水素・過酸化尿素の濃度」「どれくらいの時間(期間)塗布するかという作用時間」によって決まってきます。


ホワイトニング剤に含まれる過酸化水素については、「体に影響がない」と言い切っているところも多いようですが、正確には「どれくらいの期間にわたり、どれくらいの量の過酸化水素を体内に取り込んだか」で、影響の有る無しやその重大さも変わってくることになります。

歯のホワイトニングはその性質上、一回こっきりでおしまいということはなく、白さを持続させるため一定期間で複数回、薬剤を使用するものだからです。


最先端のホワイトニング治療を受けた場合でも、効果が永続する治療法はいまだに無く、わずか1年程度で色が元に戻ってしまいトラブルとなるような事例も、実際に起きています。

治療の受診前にはきちんと説明を受け、不明点や不安点を質問し、納得してのぞむ必要があります。


歯科医院で使用されるホワイトニング剤の過酸化水素の濃度は、国が認可している30~35%までのものが一般的ですが、過酸化水素はそもそも漂白剤に使われる成分であることからもおわかりのとおり、基本的に歯肉や歯のエナメル質への刺激が強いという性質をもっています。

高濃度の過酸化水素を万一飲んだりした場合、消化管がやけどするなどのリスクもあります。


ここで注意すべきは、高いホワイトニング効果を求めるあまり、アメリカなどで使用されているホワイトニング剤を個人輸入で購入して使うような場合です。


アメリカ国内では、すでに100種類を超えるホワイトニング剤が売られているとのことですが、これだけ多くなってくると、なかには粗悪品も混じります。

また、欧米人の歯のエナメル質にあわせてつくられている薬剤を日本人が使った場合、歯や歯ぐきにダメージを与える恐れもありますので、個人的な判断による購入・使用は、歯の健康のためにも控えるほうが安全でしょう。


歯科医院では認可された範囲の濃度の薬剤を使っている、ということで一般に安全とされているわけですが、中長期的に薬剤を使用した場合の歯に対する影響については、実はまだデータも少なく、安全性について確立された見解までは明らかにはなっていないのです。


日本においては、ホワイトニングが領域に含まれる「歯科審美学」について、日本歯科審美学会が正式に学問として定義したのは2000年になってからです。

アメリカにおいてすら、せいぜい20年程度の歴史しかない分野であることを考えると、「安全性が確立されている」とまで言い切ることは、正直言いすぎの感があります。


ホワイトニングを続けてきた人の歯に、30年~40年が過ぎた後どのような影響があるかについての十分な検証や科学的証明はまだ十分ではないことは、ホワイトニング治療の受診にあたっての基礎知識として、知っておかれるとよいでしょう。



歯と口の健康 参考サイト

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